新型コロナウイルス感染症流行の今、歯科通院はどうする？感染症予防に口腔ケア！

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行で、日常生活に大きな影響が出ています。
お子さんの休校・休園、時差出勤やテレワークなどで生活サイクルが変わったり、旅行やイベントの予定がキャンセルになったりしている人も多いでしょう。

おでかけ全体が自粛傾向にあるなか、新型コロナウイルス感染症とは無関係の病院通いをどうすべきかも悩みの種ですね。歯科も同じで、しかも口内を診てもらう治療ということもあり、かなり気になることと思います。

そこで今回は歯科医院の立場から、予定通り歯科通院するかどうかの判断基準や感染症対策の注意点をお伝えします。

歯科の感染対策は徹底されている

口内を治療する歯科医院では、安心して患者を受けられるよう常に感染対策を徹底しています。
例えば、当院では以下のような対策です。

• エプロン・使用トレー・排唾管などは全てディスポーザブル（使い捨て）を使用
• エアータービン（切削器具）・エアーシリンジ・デンタルミラー・探針などは全て患者毎に交換し、滅菌処理したものを使用
• 口腔外バキューム・外科用室内空気清浄システムなどの設備は全室個室
• 歯科医師・歯科衛生士ともにゴーグル及びグローブ着用を義務化

もちろん、基本的な手指消毒や院内設備の消毒は言うまでもありません。
これらはインフルエンザなどの季節性感染症の流行期だけでなく、通年で実施している院内感染予防です。

今回の新型コロナウイルス感染症については解明されていないことが多いものの、歯科医院が他の屋内施設に比べて感染リスクが高いわけではないことはおわかりいただけるかと思います。
歯が痛む・歯肉炎がひどいなど歯科医に診てもらいたい症状があるときは安心してお越しください。

歯科受診時の注意点

2020年4月13日時点で歯科医院での感染は発生していませんが、密室空間に多くの人が集まるのは好ましくありません。事前予約と時間厳守を心掛け、待合室の混雑緩和に協力しましょう。また、小さなお子さんがいらっしゃる場合は、お子さんの面倒を誰かに見てもらえる日時を選ぶようにしてください。

急を要しない受診は延期するべき？

定期検診やそれほど深刻さを感じていない症状の場合は、受診を迷われるかと思います。
2020年4月13日に、日本歯科医師会から見解が発表されているので、そちらを引用しておきます。

感染がさらに拡大し、自覚症状のない患者さんが来院する可能性が増していることから、日本歯科医学会連合などの学術的見解も踏まえて、歯科医療機関には特に感染の広がりが大きな地域では、延期しても問題が少ない治療、定期健診、訪問診療等の延期の検討もお願いしています。

とはいえ、「定期検診なら延期しても問題ない」というわけではありません。小さな虫歯が悪化してしまう、口内環境が悪化して誤嚥性肺炎のリスクも高まる（高齢者の方・要介護の方）、といったリスクもあります。
感染拡大状況は地域により異なりますし、定期検診延期の影響は患者さんによって差がありますので、かかりつけ医に相談してみることをおすすめします。

参考：公益社団法人 日本歯科医師会「日本歯科医師会から受診に関するお願い（令和2年4月13日）」

電話やオンラインで治療はNG

「新型コロナウイルス感染症の流行が収束するまでは、電話やオンラインで診療してほしい」
という人もいるかもしれませんが、残念ながらこれは原則不可能です。
基本的には歯科医院に赴き、歯科医師による診察を受けてからの治療となります。

慢性疾患治療中の場合は電話・オンラインで常用薬の処方可

ただし例外として、慢性疾患で治療中の方は、通院なしに常備薬を処できる臨時措置が取られています。慢性疾患治療中に常備薬の処方を受ける場合は、電話かオンラインで診察を受け、処方箋は医院から薬局にファックスしてもらえます。処方基準に迷う場合は、お近くの歯科医院まで問い合わせてみてください。

参考：厚生労働省保険局医療課「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて（その4）」

風邪症状があるときは予約を延期しよう

無症状の場合は通院を控える必要はありませんが、新型コロナウイルス感染症流行の状況を踏まえ、念のため予約を延期しましょう。
具体的には、下記のような症状がある場合は無理をしてはいけません。

• 発熱
• 喉の痛み
• せき
• 息切れ
• 強いだるさ（倦怠感）

参考：公益社団法人 日本歯科医師会「患者さんへのお願い（院内入口掲示用）」

新型コロナウイルス感染症は、風邪と似た症状が出るという報告が多数あります。花粉症の人は判断が難しいかもしれませんが、花粉症か風邪かわからない場合は、無理せず通院は控えましょう。

なお、以下の症状がある場合は都道府県の「帰国者・接触者相談センター」に連絡してください。

• 風邪の症状や 37.5℃以上の発熱が 4 日以上続いている
（解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます）
• 強いだるさ（倦怠感）や息苦しさ（呼吸困難）がある
※高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が 2 日程度続く場合

参考：公益社団法人 日本歯科医師会「患者さんへのお願い（院内掲示用）」

感染症対策に口腔ケアの徹底を！

インフルエンザに関して言えば、口腔細菌が蔓延していると、ウイルス感染が広がりやすいと報告されています。また、口腔細菌が蔓延したまま食事をしたり、唾を飲んだりすると、体内へとウイルスを取り込んでしまう可能性が高いです。

口腔ケアがどれくらい新型コロナウイルス感染症予防に有効なのか、明確に示すデータはありません。しかし新型コロナウイルス感染症もウイルス感染ですから、これらの口腔ケアが無意味である可能性は低いでしょう。それに口腔ケア自体、日頃から心掛けておいて損のないケアです。

まずは毎日の歯磨きはきちんと行うこと。歯間ブラシで細かい汚れを落としたり、マウスウォッシュ液で口内を殺菌したりするのも有効です。
これを機に、今まで以上に口腔ケアを徹底しましょう。

まとめ

記事の中でも解説した通り、気になる自覚症状がなければ、現状は歯科医院への通院を控える必要はありません。歯科医院においては、感染予防のための対策を徹底しています。
ただし少しでも風邪のような症状が見受けられる場合は、通院は控えてください。通院していいのは、あくまで気になる自覚症状がない場合に限ります。

併せて、口腔ケアの徹底も忘れずに。日頃の口腔ケアで、感染予防に努めましょう。