自宅にいながら歯の治療が受けられる歯科訪問診療。身体が不自由なご家族のために、利用を検討している人も多いのではないでしょうか。
一方で歯科訪問診療を利用するにあたって、
「自宅で行う治療って、内容も限られてくるんじゃないの？」
という不安を抱いている人も多いはずです。
そこで本記事では、歯科訪問診療で可能な治療内容について解説していきます。
歯科訪問診療を申し込む前に、どんな治療に対応しているのかを確認しておきましょう。
歯科訪問診療とは？
歯科訪問診療とは、病気や高齢で外出が困難な患者のために、歯科医師が自宅や施設まで出向いて診療を行うシステムのことです。初回のカウンセリングで病状を診断し、治療の計画を立てたうえで定期的に歯科医師が訪問します。
歯科訪問診療を受けるための条件
歯科訪問診療は誰でも受けられるわけではありません。
具体的には、下記の条件を満たしている必要があります。
①心身の状態から、自身での通院・外出が困難であること
②歯科医院から半径16km以内の自宅・施設であること
年齢に関する制限はありませんが、寝たきりの人や自力での歩行が困難な人のみが対象となります。
加えて好きな歯科医院を指定できるわけではなく、半径16km以内という条件がつきます。
上記の条件を満たしているかどうかが不安な場合は、最寄りの歯科医院に一度問い合わせてみましょう。
歯科訪問診療で可能な主な治療内容
歯科訪問診療においては、治療に必要な機材が全て持ち込まれるため、歯科医院に通院するのとほぼ同等の治療内容を提供してもらえます。
ただし治療時の姿勢保持や照明などの環境面の制限が加わることもあるので、実際にどこまでの治療に対応しているのかは事前に確認が必要です。
虫歯治療
在宅でも、抜歯や詰め物を含む虫歯治療が行えます。
高齢者の方は、歯を覆うエナメル質が薄くなり、かつ歯肉が痩せだしていることが多いため、若者よりも虫歯になりやすいです。
虫歯は動脈硬化や糖尿病のリスクを高めるため、放置してよいものではありません。
またいつまでも健康な歯を保つことが、健康的に食事を楽しむことにも繋がります。
歯科訪問診療を利用して、1日でも早く虫歯治療を始めましょう。
歯周病治療
歯周病は口内に住み着いた細菌が引き起こす歯肉炎・歯周炎の総称です。
歯周病が進行すると歯肉が後退し、最悪の場合は歯が抜け落ちてしまうリスクもあります。
免疫力が低下している高齢者の方は歯周病の進行が早いので、特に注意が必要です。
歯周病で後退した歯肉を元通りにすることはできないので、歯周病治療においては歯周病の原因となる歯石を取り除き、病状の悪化を抑えます。
歯周病は放っておくと悪化する一方なので、一刻も早い治療が求められます。
入れ歯の作成・修正
入れ歯の作成や修正も、在宅にて行ってもらえます。
もし現状で歯が抜けてしまっている部分がある場合は、歯科訪問治療にてなるべく早く入れ歯の作成を行いましょう。
歯がないということは、食べ物を十分に噛めないということです。
しっかり噛むことは効率的な栄養摂取に繋がるのに加えて、脳を刺激するので認知症の予防にも繋がります。
また入れ歯を作成してから年月が経つと、歯茎の形が変わり、サイズが合わなくなってきます。
違和感を感じたり、外れやすかったりする場合には入れ歯を修正することも大切です。
口腔ケア
口腔ケアとは、口の中を綺麗にし、虫歯や歯周病といった病気を未然に予防することです。
具体的に行ってもらえるケアとしては、歯磨きでは磨ききれない部分の掃除や、唾液分泌を促すための顔周りのマッサージなどがあります。
特に体が不自由な高齢者の方は、自分一人だけでは十分な口腔ケアが行えません。
歯科訪問診療を利用して、定期的に歯科医師または歯科衛生士によるケアを受けることが大切です。
食事指導
健康な歯を維持するためには、どんなものを口にするのかも重要です。
栄養バランスが崩れると口内の免疫力も低下するので、虫歯や歯周病にもかかりやすくなります。
食事を通じた歯の健康維持を目的とするのが、歯科医院による食事指導です。
歯科訪問診療における食事指導では、患者の健康状態を確認したうえで最適な食事の摂り方を指導してもらえます。
現在虫歯や歯周病の予兆がなくても、生涯にわたって健康な歯を維持するために一度指導を受けておくことをおすすめします。
まとめ
歯科医院への通院が困難だからといって、歯のトラブルは放置してよいものはありません。
特に高齢者の方は歯のトラブルが体全体の健康を脅かすので、一刻も早い治療が望ましいです。
歯科訪問診療を利用すれば、歯科医院に通院するのとほぼ同等の治療内容を自宅にて提供してもらえます。
身体の不自由なご家族がいる場合は、まずは利用可否の確認も含めて最寄りの歯科医院に問い合わせてみましょう。
